事務作業の省力化や資料作成に役立つ、Excelの使い方を紹介

Excelの機能を最大限に生かして、業務の省力化や経営状況を分析できる資料の作成方法を解説します。

リスト入力を格段に使い易くする、UNIQUE関数とSORT関数

リスト入力は便利ですが "管理" が面倒でした

 

リスト入力を使えば「入力作業」の効率が上がる

 リスト入力の機能を使えば、"同じ データ を繰り返し入力"するような場合に効率が上がり、しかも入力ミスを防ぐことができます。

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リスト入力の不満点

 とても便利な「リスト入力」の機能ですが、実際に使う際にはいくつかの不満点もありました。

  1. リストに表示する「元データ」の作成に手間がかかる
  2. 「リスト」に表示する内容の変更に手間がかかる
  3. リストに表示される「行数」が増えると探すのが大変

 

Excelに追加された新しい関数 "UNIQUE関数""SORT関数"を使えば、「リスト入力」が使い易くなります

 リスト入力は、入力作業の効率は上がるものの、新たなデータを追加したり、プルダウンした"リスト"から必要なデータを選ぶのが大変でした。

 Excelに新たに追加された"UNIQUE関数""SORT関数"は、この関数が持つ画期的な「スピル特性」によりリスト入力の不満点が解消されます。

 
UNIQUE関数でリスト入力用の「元データ」が自動的に作成される

 スピル特性を持つUNIQUE関数を使うことにより、「元データ」が自動的に作成されるだけではなく、自動的に更新されるようになります。 

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SORT関数で、「リスト」が昇順(降順)で並び替わる

 UNIQUE関数は上から順番に抽出するので、"抽出したリストの並び"は、引数にした範囲の並びが反映され、最期に追加したものは"リストの一番下"になってしまいます。

 UNIQUE関数SORT関数を組み合わせ、ネスト(入れ子)構造にすることで、プルダウンリストの並びを昇順(降順)にすることができます。

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1.リストに表示する「元データ」"作成"に手間がかかる

 リスト入力に必要な「元データ」の作成は手間がかかる作業です。

 " 男・女 " " 〇・✖" のような簡単な内容であれば手入力で構いませんが、"商品名""顧客名"のようにデータが多い場合は、手入力で「元データ」を作成するのは大変です。

 Excelの機能「重複の削除」の機能を使えば簡単に「元データ」を作成することができます。

 しかし、この重複の削除は"コマンド"なので、リストに"修正(変更)"があるたびに操作が必要でした。

 Excelに新しく追加された「UNIQUE関数」は、画期的な"スピル特性"を持つ関数です。

 このUNIQUE関数を使うことにより、従来はマクロを使わなければできなかった、リスト入力の「元データの自動生成(更新)が可能になります。

 

「重複の削除」の機能を使って、「元データ」を作成する

 Excelのコマンド「重複の削除」は、選択範囲内の"重複しているデータを削除"してくれる便利な機能です。

 この機能を使えば、"既に入力されている表"を使って簡単に「元データ」を作成できます。

  1. 重複しているデータを削除したい"範囲"を選択
  2. 「データタブ」を選択
  3. 「重複の削除」をクリック
  4. 重複の削除ダイアログで「商品名」にチェックを入れる
  5. 「OK」をクリック
  6. 削除した内容を表すダイアログで「OK」をクリック

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「UNIQUE関数」を使って、「元データ」を作成する

 「元データ」の作成は"重複の削除"の機能でもできますが、重複の削除は"コマンド"なので、元の「表」に変更があるたびにやり直しが必要でした。

 UNIQUE関数は、数式として入力しておけば「表」に変更があっても自動的に更新されるので、その都度やり直しの必要がありません

 

 "E4" のセルに、UNIQUE関数を入力する

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  1. 引数「配列」に元データにしたいリストの範囲を選択
  2. 「OK」をクリック   

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 UNIQUE関数 "スピル特性" を持つ関数です。

  "スピル" の意味は「溢れる(こぼれる)」で、条件に合致する「結果が複数ある場合"1つのセル"に数式を入力するだけで、数式がないセルにも"溢れる"ように結果が表示されます。

 今回の場合もUNIQUE関数を設定するのは"E4のセル"のみで、数式が入力されていない"E5~E13" の部分には「ゴースト」として結果表示されます。

 ※ ゴーストが表示される部分に"データ"があると、エラーになります

  

2.「リスト」に表示する内容の"変更"に手間がかかる

 UNIQUE関数を使えば「表」のデータを変更(修正)すると「元データ」が自動更新されます。

 しかし、データを追加した場合には、UNIQUE関数の引数「配列」の範囲が変わるので、そのままでは"変更"が反映されません

 この問題は"「表」をテーブル化"しておき、「構造化参照」を使って引数「配列」を設定することにより、「表」のデータを変更(追加)しても引数「配列」を変更する必要がなくなります。

 

構造化参照をつかえば、抽出する範囲の修正が不要になる

 UNIQUE関数を使うことにより、引数「配列」に指定した参照範囲から"自動的に重複していないデータを作成"することができます。

 しかし、このままではデータの変更は自動で更新されますが、データが追加された場合には引数「配列」の参照範囲を手作業で変更する必要があります。

 引数「配列」に"構造化参照"を使うことにより、データが追加されても自動で参照範囲を広げることができます。

 

「表」を"テーブル化"する
  1. 「リスト」内のどこか1つのセルを選択する
  2. 「挿入タブ」を選択
  3. 「テーブル」をクリック
  4. テーブルの作成ダイアログで、「テーブルに変換する・・・」の範囲が正しく選択されているのを確認
  5. 「OK」をクリック

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「テーブル」"名前を変更"する

 作成した「テーブル」には、自動で「テーブル2」のように作成順に名前が付きますが、分かりやすくするために名前を変更します。

  1. "テーブルのどこか1カ所を選択状態"にして、名前を編集する"テーブル"を選択します
  2. 「テーブルデザイン」タブを選択します
  3. テーブル名を「商品名」にします

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UNIQUE関数引数「配列」をテーブル名にする

 UNIQUE関数引数「配列」"テーブル名"にすることで「構造化参照」になり、リストの内容が追加されても、"引数" を修正する必要がなくなります

  1. 引数"配列"のボックスに、テーブル名の「商品名」を入力します
  2. 「OK」をクリック

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表を「テーブル化」して作業効率を上げる - Excelの機能を活用して、事務作業の省力化や経営分析をする

 

リストを追加すると、「元データ」に反映される

 商品名のリストの最後に「その他」を加えると、テーブル「商品名」の範囲が自動的に広がり自動的にリスト入力の「元データ」に追加されます。

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3.リストに表示される「行数」が増えると探すのが大変

  UNIQUE関数は、引数「配列」の範囲を上から下へ検索するので、抽出結果も元の範囲の順番のままです。

 そのため追加されたものは「一番下」になってしまいます。

 そして、「リスト入力」のボックスに表示されるデータが多くなると、"規則性が無い"ので探すのが大変です。 

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SORT関数を使って、リスト表示を「昇順」にする

 新しく追加された"スピル特性"を持つ「SORT関数」を使って、UNIQUE関数を囲み「ネスト(入れ子)構造)にすることで、UNIQUE関数で抽出した内容を "昇順" にすることができます。

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作成した「元データ」を使って、リスト入力の設定をします

 リスト入力用の「元データ」がUNIQUE関数で作成されたので、リスト入力の設定をします。

 今回作成した「元データ」は、SORT関数UNIQUE関数)が入力されているセルの「1つ」以外は"スピル特性"による「ゴースト」です。

 そのまま数式が入力されている"E4"のセルを「元データ」に指定しただけでは「ゴースト」部分が表示対象にならないので、リスト入力の設定時に"スピル範囲演算子「#」"を使って「ゴースト部分」も「元データ」の範囲に指定します。

 

スピル範囲演算子"#"を使って、「元の値」の設定をする 

 スピル特性を持つ"UNIQUE関数で抽出されたデータ"は、数式が入力されているセル以外は、実体のない「ゴースト」として表示されています。

 スピル範囲演算子「#」を使うことにより、「ゴースト」の部分を含む"スピル範囲全体"を参照することができます。

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  1. "リスト入力"を設定するセルを選択
  2. 「データ」タブを選択
  3. 「データの入力規則」をクリック
  4. データの入力規則ダイアログで「設定」タブを選択
  5. 入力値の種類で「リスト」を選択
  6. 元の値に数式 "=E4#" を入力
  7. 「OK」をクリック

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"リスト入力"が設定されました  

 "UNIQUE関数""SORT関数""構造化参照" を使うことにより、元の「表」が変更・追加・削除されると、それが「リスト」に反映されるようになりました。

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 このようにExcelに新しく追加された、UNIQUE関数SORT関数を使うことで、リスト入力に関する不満点が解消され、格段に使い易くなります。

 "リスト"の内容が自動更新されるのも、内容が並び替わるのも、新しい関数が持つ画期的な機能「スピル特性」により実現可能になりました。

 

UNIQUE関数を使って、リスト入力の「元の値」を自動更新する - Excelの機能を活用して、事務作業の省力化や経営分析をする

SORT関数とUNIQUE関数を使って、リスト入力の「元データ」を並べ替える - Excelの機能を活用して、事務作業の省力化や経営分析をする

 

"2つのリストを連動させる" と、リスト入力の効率が上がる 

 リスト入力の効率を上げる方法は他にもあります。

 2つのリスト(項目)のリスト入力を連動させることにより、1つ目のリスト(項目)で選んだ内容により、2つ目のリスト(項目)のリスト入力で表示字する内容を変えることができます。

 

「県」のリストと「市」のリスト(項目)を連動させる

 「県」の項目でリスト入力から"山口県"を選択すると、次の「市」の項目のリスト入力には"山口県内"「市」しか表示されなくなります。

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「部署名」「担当者」のリスト(項目)を連動させる

 「部署」を選択すると、"その部署に属する"「担当者」だけがリストに表示させるようにすることができます。

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「リスト入力」で、2つのフィールドを連動させて表示する(INDIRECT関数) - Excelの機能を活用して、事務作業の省力化や経営分析をする

 

 

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