「条件付き書式」を使えば、簡単に「情報の可視化」ができます。
「条件」を設定すれば、その条件に合致するセル(範囲)に色がつく
財務諸表を分析する時などで、情報を可視化するため「条件」に基づいてセルに色を付けることがあると思います。
たいていの場合、紙に印刷したもの、もしくは画面上で手作業で色を付けていきます。
しかし、分析の作業はいろいろと「視点」を変える必要があります。
「視点」が変われば、どうしても「条件」が変わってしまいます。
そして「条件」が変われば色を付ける内容も変わってしまいます。
色を付け直す作業を手作業で行うのは大変な作業です。
「条件付き書式」を使えば「条件」を変更しても自動的に色が更新されます。
下のように「条件」を設定しておけば、自動で色が付きます。
- 前月より10%以上UPしたセルに「青」にする
- 前年度より10%以上DOWNしたセルを「赤」にする
- 上位3件のセルを「黄」にする
- 合計が「100万円以上」のセルを「緑」にする
「数式」を使って「条件」を設定できる
条件付き書式には、数多くの「条件」があらかじめ用意されています。
「条件」に数式を使えば、複雑な条件に該当するセルに「色」を付けることができます。
数式を使えば、違うシートのDATAを「条件」にすることもできます。
- 「前期」と「後期」の2枚のシートの内容を比較して、「後期」のシートに「前期」より大きく変化した部分に色を付ける
条件付き書式を使うメリット
- 元のデータを加工しないのでやり直しが即座にできる
- 「前月」や「前年度」などの別シートの情報と比較した内容を単一のシートで表現できる
「プロジェクター」を使って、説明しながら条件を変えることができます
同一のシートに、様々な条件で「色」を付けながら説明することで、説明しやすく、聞く側も理解しやすくなる。
- 「前月より10%上昇したのはこの事業部です」
- 「前年度より10%上昇したのはこの事業部です」
- 「上昇率を15%にすればこうなります」
他にも条件付き書式には様々なメリットがあります
- 複数ページに別れてしまう資料を、1枚にまとめることができる
- 元の「DATA」に「行」や「列」を追加する等の手を加えないので、いつでも元の状態に戻すことができる。
- 「数式」を使った項目を追加しないので、再計算のミスや参照のエラー等がない
「成績表」に条件付き書式を設定する
下のような集計表では「情報」が伝わってこないので、何らかの方法で「情報を加える」必要があります。
結果だけを表示した「単純な集計表」
1.「合計」を基準にして並べ替える
この方法は、データ(行)の並び順が変わってしまうので、前期の資料と後期の資料を比較検討するなど他(過去)の資料と比較することができなくなります。
2.「評価」のフィールド(列)を加えて「記号」を表示する
元の並び順を変えずに、追加した「評価」のフィールド(列)にIF関数を使って「記号」を追加する。
数式「 = IF( 合計 >=400 , " A " ," " ) 」
- 400点以上 →「A」
- 350点~399点 →「B」
- 300点~349点 →「C」
- 300点未満 →「D」
この方法は、並び順を変える必要はありませんが、項目を増やすことになるので「表」が大きくなってしまうので注意が必要です。
3.「条件付き書式」を使って、情報を加える
「合計」の点数を基準にして、フィールド(列)を「塗りつぶし」ます。
- 400点以上を「赤」
- 350点~399点を「青」
- 350点未満を「緑」
- 300点以下を「黄」
条件付き書式を使って「色」を付けるメリットは
- 元の表(データ)には一切手を加えていないので、書式を解除すれば元の表に戻せる
- 条件式を変えるだけで情報を変えることができる
4.複数の条件を加えれば、「表示する情報を増やす」ことができます
「合計点の比較」と「各教科の点数」の2種類の情報を表示することで、単純に「成績が良かった」だけでなく「どの教科の成績が良かったのか」の情報を1つの表で表現することができます。
- 合計点に関する「書式」を「氏名」のフィールド(列)だけに設定
- 「各教科の点数」のセルに基準点をもとにした情報を設定する
- 80点以上のセルを「薄い赤」で塗りつぶす
- 60点以下のセルを「薄い黄」で塗りつぶす
5.条件に数式(関数)を使えば、複雑な条件や他のシートのDATAとの比較もできます
条件付き書式に用意されていない「条件」を設定したい場合には「数式」を使って条件を作成することができます。
前期・後期の点数を比較したい場合など、2つの表を見比べるのは大変です。
そこで、「表」に前期から後期への変化の内容を示す情報を加えて、「2期比較の表」に作り替える必要があります。
2期比較の表を作成する
1.各教科ごとに「前期」と「後期」を並べて表記する
「前期」と「後期」のDATAを並べることで変化を表現します。
この表は「個人の成績」を確認することはできますが、「クラス全体」の状況をつかむことは難しいと思います。
2.変化を分かり易くするため、「増減率」の項目を加える
2つの期間の差を表す「増減率」の項目を加えることで、「変化の状況」は分かり易くなりましたが、表が大きくなってしまい教科が多くなると1枚の資料におさまらなくなり全体の状況を把握することができなくなります。
「2期比較の表」に作り替える作業はかなり面倒な作業です。
会計ソフトは通常このような形式は用意されていないので、用意されている「財務諸表」をもとに毎月作り替える必要があります。
マクロを使って自動作成する方法もありますが、会議で使用する資料は会議の内容や流れに応じて必要な情報が変わることが多くマクロの修正や変更が大変な作業になってしまいます。
1枚の資料に情報を盛り込み過ぎると見ずらい資料になる
- 項目が多い場合など、横に長くなり1枚に収まらず見づらい資料になってしまう。
- 数字(項目)が多くなってしまい、情報過多で変化が判別しにくい
項目を加えることで「情報」は増えましたが、表が横に長くなりすぎ全教科を一覧することができなくなります。
詳細に分析しようとすれば「マーカー」を使って資料に色を付けるなどのさらなる作業が必要です。
手作業でする場合、この作業を会議の度に繰り返すことになります。
項目を追加することで「情報」を表現している資料を使っての説明は、説明する方も、聞く方も資料のあちらこちらに目を走らせなければならず大変です。
そして多くの「項目」を追加した資料は「情報量」が多すぎて「A君の成績はどうなったのか」はわかるのですがクラス全体の状況が分かりにくくなったりします。
「木を見て森を見ず」の資料になった資料を補うために、また別の資料を作ることになったりします。
「条件付き書式」を使えば、「項目」を増やすことなく「情報」を表現できる
条件付き書式は、下の表のように、ほかの表(他のシートでもよい)と比較した「条件」を設定することができます。
やり方は簡単です、数式で下のように条件を設定してやるのです
(元のセル)>=(比較するセル)+5点 なら「緑」に塗りつぶす
(元のセル)<=(比較するセル)ー5点 なら「黄」に塗りつぶす
会議の時にプロジェクターを使用すれば、質問者が「プラス8点の場合はどうなるのか」などの要求が出た場合も、条件の「数字」を変えるだけで即座に答えることもできます。
「財務諸表」において「条件付き書式」はさらに有効です
今回は分かり易くするために「成績表」を例にしましたが、情報が格段に多くなる「財務諸表」ではより効果的です。
数字ばかりで分かりにくい「財務諸表」が、条件付き書式を指定してやるだけで、分かり易い説明資料に変化します。
- 前月より10%以上減少したセルを赤く塗りつぶす
- 前月より10%以上増加したセルを青く塗りつぶす
条件付き書式は他にもたくさんあります。
その2に続く...