デイサービスの「集計表」から、ピボットテーブルで利用状況を分析する
- デイサービスの「集計表」から、ピボットテーブルで利用状況を分析する
介護保険事業所は、毎月10日締め切りの介護保険請求があります
介護保険請求の締め切りは毎月10日です。
請求担当者は月初から8日くらいまでの間、請求作業に追われることになります。
介護保険の請求作業は、「介護保険の請求システム」に利用状況をシステムに入力するだけで自動的に集計されますが、それはあくまでも介護保険請求のシステムなので、残念ながら利用状況を分析することができる資料は作成されません。
利用状況を分析するためには、請求システムに入力するために作成した「利用状況の集計表」を加工して分析資料を作成することになります。
今回は、Excelで作成した「利用状況の集計表」をもとにしてピボットテーブルで「分析資料」を作成する方法を説明します。
業績検討のための資料作成は大変
介護保険事業所の責任者は、毎月の請求業務に加えて、業績検討のための分析資料を作成することを求められていることが多いと思います。
毎月10日締め切りの「請求業務」に加えて、別に業績検討のための「資料」を作成することは担当者にとっては大きな負担になります。
過ぎ去った「過去」のデータを分析・検討してもあまり効果がない
分析資料の作成は、毎月10日に介護保険請求が終わってから取りかかることになります。
「検討会議」が15日に開催された場合、検討資料の内容は最大で45日が経過しています。
つまり検討会議では「1か月半前のことを検討」することになります。
そして、過去のことを分析する場合「悪くなった要因」の分析は簡単ですが、「良くなった要因」の分析は難しい作業です。
そして会議の内容はどうしても「反省会」になってしまいます。
業績が悪くなったのは、あくまでも「結果」です。
「悪くするために対策を講じる」ことはありませんが、「悪くなる場合は分かり易い原因がある」のでそれを見つけ出すのは比較的簡単です。
大切なのは、「なぜ良くなったのか」を分析することです。
業績が好転する場合は偶発的な要因によるものは少なく、業績を良くするために対策を講じているはずです。
しかし改善した要因は単一ではなく複数の対策の積み重ねで、しかもその効果は「時間差で現れる」ことが多く、余計に分析を難しくします。
悪くなる場合は単一の要因で「ドカン!」と落ちるので分析は簡単です。
よくなる時は複数の要因で「ジワジワ・・・」と上がるのでいろいろな要因が絡み合ってしまうので分析が複雑になってしまいます。
それで「悪かった部分の分析資料」は充実してしまい、「良かった部分」の分析資料は材料不足で「議題として会議に提出」することが難しくなってしまいます。
分析の難しい「改善の要因を見つけ出す」ためには、どのような「対策」を講じた時に、どのような「効果」が出たかをリアルタイムで分析するのが一番重要です。
素早く分析資料を作成することで、「資料」の内容が充実し、検討会議の内容が「反省会」から「対策会議」に変えることができます。
請求業務のための「集計表」からピボットテーブルを使って「分析資料」を作成する
介護保険請求のために作成した単純なリスト形式の「集計表」から、ピボットテーブルを使えば「統計資料」や「分析資料」を作ることができます。
利用状況を単純に入力しただけの、リスト形式の「集計表」
単純な「リスト形式」の資料から、複雑な関数を使った数式を入力することなく「分析資料」を作ることができます。
「分析資料」はできるだけ早く作ることが重要
「分析資料」は過去の結果を振り返って「反省」するための資料ではありません。
状況を早期に「把握」して、分かった状況をもとに「対策」するための資料です。
月の途中での状況を知るために、「中間結果の資料」の作成は重要です。
しかし、「集計表」から資料を完成させるまでに時間がかかるようでは、作成を躊躇してしまうことになってしまいます。
ピボットテーブルの機能を使えば、リスト形式の集計表から「関数を使った数式」を入力することなく、「ドラッグ操作」だけで様々な形式の「資料」を作成することができます。
「利用曜日」と「エリア」でクロス集計
このピボットテーブルの最大の特徴は「元のDATAに手を加えない」ことです。
関数を使う場合は「元のDATAに数式を入力」する必要があります。
この数式を入力した時点で、「集計表」と「分析資料」は別のものになってしまいます。
関数を使って2つの資料を「参照して連動させる」ことも可能ですが、分析資料は「その時々の状況に応じて分析方法を変える」ことが多く、その度に数式を変更する必要があり、その手間を考えると、どうしても手入力による転記作業になってしまいます。
この「手入力による転記」が問題で、「時間がかかる」だけではなく「入力ミス」も発生してしまいます。
手入力による転記の時間、入力ミスを見つける添削作業を考えると、何度も資料を作り直すことは避けたくなってしまいます。
ピボットテーブルの場合は「元のDATA」には手を加えず、別の場所(シート)に集計結果が作成されます、しかもそれは「元のDATAと連動」しているので、DATAを変更すればそれは自動的に反映されます。
重要なのはこの「DATAの変更が反映」されることです。
通常、責任者は月末に現場が集計したDATAをもらい、それから分析作業を開始しその分析結果をもとに、「現場の担当者に聞き取り」をすることになります。
そして、聞き取りの結果「効果的な対策を取っていた」ことがわかっても、それは長い場合1カ月以上後に判明することになるのです。
そして同時に、「悪い結果をもたらす原因も1カ月以上放置される」ことになります。
ピボットテーブルを使えば、資料(ピボットテーブル)を作成してしまえばあとは元のDATAが変更されても自動的にその変更内容が資料に反映されるので、分析資料は常に最新の状態です。
現場が作成する「集計表」と管理者の「ファイル」をリンクさせておけば管理者が見る分析資料は常に最新の状態です。
ピボットテーブルの機能を使って作成した、色々な形式の「資料」
介護保険請求システムに入力するための統計表
介護保険の請求システムに入力するための「資料」も常に最新の状態で作成されるので、「月締めで修正が発生」しても即座に反映されます。
ピボットテーブルで作成できる、様々な種類の「分析資料」
曜日毎のエリア別利用状況
「曜日」と「エリア」のクロス集計も簡単にできます。
曜日別の利用者の居住エリア
「曜日」と「エリア」の複合集計のグラフも簡単に作れます。
曜日別のエリア別利用状況
特定の「曜日」のエリア別の割合の円グラフも作れます。
エリア別の曜日別利用状況
特定のエリアの、利用曜日の割合の円グラフ
個人別の利用状況
利用者の利用状況の棒グラフ
このように「様々な情報を表現」することができる「表」や「グラフ」を、単純な「リスト形式の集計表」からつこと作るができます。
他にもピボットテーブルを使うメリットは、「月」や「年」や「エリア」などの要素によって「表を分割する必要がなく」、単一のデータから必要なデータを抽出することができることです。
「タイムライン」の機能を使って情報を抽出する
タイムラインの「バーを直接ドラッグ」すれば、「必要な期間の情報を抽出」することができます。
期間の種類は、「月」や「年」だけではなく、「四半期」や「前期・後期」等いろいろなものがあります。
「スライサー」を使って情報を抽出する
スライサーは「フィルター」機能を分かり易くしたものです。
任意の「フィールド(項目)」の「スライサー」を作成することができます。
複数の「スライサー」を作成し、それらを組み合わせて複合的に集計することも簡単です。
このように、単純なリスト形式の「集計表」から様々な種類の「分析資料」を作成することができます。
具体的な作成方法は(その2)に続く。
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