「ピボットテーブル」を使えば、「単純なリスト形式の表」が分析資料になります
その1に続いて、ピボットテーブルの機能を使って、リスト形式の表を分析資料にする方法を説明します。
ピボットテーブルの機能を使えば、「単純なリスト形式の表」から、数式(関数)を使うことなく集計ができるだけでなく、複数の条件をもとに集計したり、集計表と連動したグラフを作成することができます。
条件を付けて集計する
条件をもとに集計する時は、通常SUMIF関数等で数式を作成して集計しなければなりません。
そして、数式を作成するということは新たなフィールド(項目)を増やすことになり、元の表に手を加える必要があります。
しかし、ピボットテーブルを使えば、数式を作成することなく簡単な操作で条件付きの集計をすることができます。
そして、ピボットテーブルを使えば複雑な集計表(クロス集計、複合集計)もドラッグ操作だけで作成することができます。
4月の「大根」の価格変動のグラフもワンタッチで作成できます
「大根」を条件にした集計表も、SUMIF関数を使って数式を作成する必要はありません。
集計条件の変更は「スライサー」を使えば簡単にできます。
集計する期間の変更は「タイムライン」を使えば簡単にできます。
「大根」の価格変動のグラフ
集計表と連動したグラフの作成もワンタッチです。
専用のフィールドで、必要な「項目」をドラッグするだけ
ピボットテーブルの操作は簡単です、集計の条件にしたい項目と、集計したい項目をそれぞれのボックスにドラッグするだけで条件を設定することができます。
その時に「行」と「列」のボックスに条件を設定すれば「クロス集計」になります。
複合集計とクロス集計を組み合わせた集計
複合集計とクロス集計の組み合わせは数式(関数)の作成が複雑になりますが、ピボッテーブルを使えばドラッグ操作だけで簡単に設定できます。
「大根」の前年同日の価格比較のグラフ
数式(関数)がさらに複雑な「前年同日」の集計も、「年」と「日付」を複合集計し、「商品名(大根)」をクロス集計に設定するだけです。
「年」と「日付」を複合集計し、「商品名(大根)」をクロス集計
行のボックスに「大根」、列のボックスに「年」をドラッグすれば、前の年の同じ日の価格を比較するクロス集計になります。
業者ごとの年度別の発注量の比較
「行」のボックスと「列」のボックスを入れ替えることで、上の例とは逆に「業者ごと」に年度別の発注量の比較をすることができます。
「年」「月」「日」を列のボックスにドラッグする
「業者名」を行のボックスにドラッグすることで、「業者名」を主にした集計にすることができます。
このように「ピボットテーブル」を使えば、様々な分析資料が簡単に作成できます。
SUMIF関数を使って、集計をする
もし、同様の資料を「関数」を使って作成しようとすると大変な作業になってしまいます。
しかも、今回の例のような「クロス集計」や「複合条件」を使っての資料を作ることはとても難しいと思います。
Excel2007で新たに加わった「SUMIFS関数」を使えば、複数条件の設定を以前のように「入れ子(ネスト)」を使うことなくできるので比較的簡単になったとはいえ、相当な工数の作業が発生してしまいます。
それは「気軽に」とは言い難い作業になってしまいます。
SUMIFS関数を使って「期間」と「食品名」の複数条件で合計する
SUMIFS関数は一度に複数の条件を設定できる新しく追加された関数です。
数式 = SUMIFS("合計するセル範囲","条件1の範囲","条件1","条件2の範囲","条件2")
表を「テーブル化」して、フィルター機能で集計する
関数を使って集計するのは大変ですが、「その1」で紹介した「フィルター」の機能を使えば同様の集計がワンタッチでできます。
フィルター機能を使った集計は、関数を使う方法と異なり「条件の変更」もワンタッチですし、関数を使う場合は「別の場所」に数式を入力する必要があり、レイアウトも工夫する必要があるので大変ですが、それらを気にする必要がありません。
グラフの作成はさらに複雑
ここから「グラフ」の作成はとても大変です。
仮に「大根」の価格の日にちごとの推移を表すグラフを作成する場合。
日にちごとにSUMIFS関数を使って合計した「表」を作成し、それをもとにグラフを作成することになります。
条件設定をするためにVLOOKUP関数やMATCH関数を使う必要があり、考えただけでもうんざりしてしまいます。
毎月の伝票整理業務を定型化して「分析資料」まで作成する
- 必要な「要素」を含んだ、伝票集計「表」を作成する
- フィルター機能を使って「業者支払いのための集計」をする
- ピボットテーブルを使って分析資料を作成する
この仕組みの中で実質的な「作業」と呼べるのは、伝票をExcelに入力する「1」の表を作成することだけです。
「2」と「3」は作業というよりドラッグ操作だけです。
毎月発生する、大変な「伝票整理」の作業が効率化できるだけでなく。
時間がかかってしまうために敬遠しがちだった「分析作業」が定型化されます。
分析資料を「必要とする人」が作成する
この仕組みを使えば、現場の担当者が「上長に報告するための資料」を作成するのではなく、「テーブル化」や「ピボットテーブル」にした状態で渡せば、後は上長が自分で分析作業をすることができます。
「資料」を検討する会議になってしまいがちな、月次決算の会議も、あらかじめ「自分」で分析した上で会議に臨めば、会議で渡される資料(表)の「数字」を議論する会議ではなく、本当の問題を議論する会議にすることができるのではないかと思います。
「テーブル化」や「ピボットテーブル」の機能を活用して日々の業務に役立ててください。
それぞれの操作方法は、過去の記事を参考にしてください。
表を「テーブル化」する方法
ピボットテーブルの作成方法
- 「ピボットテーブル」を使えば、「単純なリスト形式の表」が分析資料になります